W杯チケット騒動


 待ちに待ったワールドカップのチケットが届いた。六月十一日、横浜国際競技場のサウジアラビア対アイルランド戦で、カテゴリー1 17000円である。で、受け取ってから考えた。試合当日まで額にでも入れて飾っておこうか・・・いやそれは危険だから、引き出しの奥深くに隠しておこうか・・・。しかしこの楽しい話題を伏せておける訳がないと言う事で、鞄に入れて携行する事にした。
 出先でこれを見せるととりあえず話が盛り上がる。そしてよく言われる事が
「よくチケット取れたね〜」
だ。確かに今回のチケット騒動は昼のワイドショーでも取り上げられているので皆そう感じるのだろう。ずっと繋がらないインターネットや、公衆電話で何百回もリダイヤルしている、そんな状態をかいくぐってゲットした印象だ。でもこの騒ぎはここ数週間の事、正規の販売はもっと前から始まっていたのだ。

 以外と知らない人が多いが、チケットの一般販売は一次から三次まで三回あった。手もとに残っている申し込みガイドによると、一次販売の受付は2001年の二月十五日。一年以上前の事である。この時は郵送による抽選で、僕は「国内一般販売」と横浜の「開催地住民販売」の二つのチャンスがあった。サッカー仲間といろいろ相談して
「人気薄のカードを第一希望にした方がいいんじゃないだろうか?」
なんて無い知恵をいろいろ出しあったりもしたが、まだ余裕のある頃で第三希望まで日本戦にして申し込んだ。結果、見事にかすりもしなかった。

 二次は基本的に電話販売で実力勝負。ただし事前に仮登録し抽選を経て、電話する日を指定されると言う変則ルール。僕は二日目になったので「なんだそんなモンか〜」と思ってたら、周りはそれすら外れてるという事。人に見付からない様にガッツポーズしたネ。しかしこの電話が繋がらない。誤解の無いよう解説すると「二日目」は電話をし始めていい日のこと。一日目にダメだった人は相変わらずダイヤルしてる訳。「三日目」の人は三日遅れて参戦。つまり入場制限があるバーゲンセールみたいなもの。最後には登録した人全員解禁で争奪戦。もうリダイヤルしすぎて突き指になるかと思ったヨ。で、周りでも誰一人として繋がらないまま終戦。

 早いもん勝ちの評判が最悪だったのを受けて、三次は電話で第三希望まで申し込んでコンピューター抽選。しかも海外販売の売れ残りも含めて試合ごとの残り枚数が公式に発表された。こうなると作戦が重要になる。せっかくの日本でのワールドカップなのに一試合も見れないのでは死んでも死にきれない。「希望」よりも「確実性」を優先。結果、僕の方はまた落選したが友達の一次希望が当選、同行者としてチケットを手に入れた訳である。

 もう一つ、以外に知られてないのが開幕前のテストマッチだ。
「イタリア代表見てきたヨ!」
てな話題を振ると
「エ!いつ、どこで?」
なんて返ってくる。こっちは半年も前からスケジュール帳に書いてるのに。それらの試合は通常の国際親善試合並の料金なので、金券屋とかネットオークションで買ってもそんなに高い物ではない。しかも選手交代の枠が多め(本番は三人まで)なので、お目当ての選手がずっとベンチだった、なんてことも無い。これは『おいしい』試合だ。

 空席問題の解決策としてJAWOC(FIFAワールドカップ日本組織委員会)は、急遽残りチケットを電話とインターネットで発売する事とした。また作戦である。災害時など電話回線が非常に混雑した場合、公衆電話が優先されるという。幸いうちの近所には、寂し〜い住宅街のこれまた寂し〜いタバコ屋の前に電話ボックスがある。
「よ〜し、あそこなら誰も気付くまい。」
と電話受付開始十分前には到着・・・が、一人オネーチャンが電話中だ。
「時間までに終えてくれるだろうか・・・」
と、考える間もなく彼女のリダイヤルが始まった、それこそ突き指でもする勢いで。しまった!考えが甘かった。慌てて猛暑の中、公衆電話を探して走り出す、全くとんだチケット騒動である。


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