メトロノームの使い方


 練習をする準備として、まずメトロノーム(クリックトラックなども含む)の使い方の概念が二種類ある事を解説したい。考えるヒントは「お習字のお手本、あなたはどこに置きますか?」

 コンピューターやリズムマシンなどと同期演奏をする時の使い方。また手順の確認やフィジカルのアップなど(どちらかと言えば)タイムの構築を主としない練習もこの使い方で良いと思う。「ガイド」という呼び方が示す様にあくまでも目安でしかない。
 僕の場合、音漏れが許されるならオープンエアタイプのヘッドフォンを使って音量的には生音に時々消されるぐらいに設定しいる。視覚的に例えるなら、自分が目で見た映像の中に薄く照準が書いてある感じ。もちろんこの使い方で演奏するには、事前に「自分の中にタイムが構築されている」状態になっている必要が有る。
 初心者の人がやってしまう悪い例は、クリックトラックに「合わせる」事に意識がいってしまい、細かくぶれた消極的な演奏になってしまう事だろう。あくまでも主体は自分が生み出すタイムやグルーブである。その上で、頭の隅でクリックトラックと実際の演奏の偏差を計算し、長いスパンで修正していけば良い。

 これを例えるなら、お習字のお手本を半紙の下に敷いて上からなぞってしまうやり方。細かい事は気にせずにのびのびと書いていけば良い。

 これは「タイム」を構築する為の使い方。リズムマシンの方が良いが電子式のメトロノームでもある程度まではいける。
 まず記憶したい譜割をリズムマシン等で演奏させてみる。そしてその音を耳で聞いて記憶する。初めの二〜三回は演奏させながらそれに合わせて叩いても良いだろう。つぎにリズムマシン等を止めて自分で再現してみる。必ずしも叩かなくても、口で歌うだけでも良い。そしてまたリズムマシン等で確認する。
 やっていけないのは、常に模範となる物を聞きながらそれに合わせて練習する事。これは自転車に乗る練習を常に人に支えられてやるような物で、その時はできているような印象を受けるが実際の演奏ではすぐに転倒してしまうだろう。必ず自分が音を出したをよく聞いて模範と比較する事。録音して聞き比べるのも良いだろう。
 その繰り返しで、ある程度自身が付いたら今度はリズムマシン等と「共演」をしてみる。「合わせる」のではない。初めは同じ事をマシンと一緒に演奏を始めるが、一小節に一音だけとか少しずつ模範の方の音を抜いていくようにする。ここで大事なのは、ずれたらすぐにやめる事。修正は絶対にしてはいけない。なぜならずれるまでの時間と修正するまでの時間、間違った長さの音符を叩いた記憶が残るからだ。ここが「ガイドとして使う」時と大きく違うところ。ずれたら即やめて、また聞き直して記憶してまたトライする。これは始めたばかりの時期は三十秒も続けられないだろう。でもそれでも効果は有ると思う。大事なのは針の穴をも通す正確なタイムを構築する事である。

 これを例えるなら、お習字のお手本を横においてそっくりに書こうとするやり方。見て覚えてそれを自分で再現するという学習だ。

 二つの違いを判ってもらえただろうか?文章で説明するとなかなか伝わらないので、実際にレッスンを受けてもらうのがいいかもしれない。また機会があれば個々に詳しく解説したいと思っている。


ひとつ前 ホームトップ メールを出す