レンタルスタジオやレンタルの楽器、あるいはライウ゛ハウスの楽器など人の楽器を借りた時、ほとんどのハイハットのフェルトがギチギチの硬くなっている。そしてクラッチも親の敵の様に(古い言い方だが)締まっている事が多い。これは困った傾向だ。僕の好きなヤマハのハイハット・クラッチはチューニングキーでロックできる様になっていて、サウンドチェックの時にいい感じの締め具合でロックしておくのだが、きちんと訓練を受けたローディー諸君は本番前にネジの弛みをチェックしてくれる時に、ご丁寧にロックを解除して締め上げてくれたりする。ハイハットの上のシンバルはある程度動く状態だという概念が無いのだろう。こういった傾向があるのは「ハイハットを踏む」事の基本原理を勘違いしている為だと思う。今回はそれを解説しよう。
バスケットボールをドリブルしていて「せ〜の」でいっきに床に押し付けてその動きを停止させるとしよう。初めのうちは「ダダダダッ」とボールが暴れてなかなか一度には止まらない。この状態ではいくら力任せに押さえつけてもダメだ。ところがボールが下降も上昇もしていない、床についた正にその瞬間を押さえると容易に少ない力でその動きを止める事ができる。これがコツだ。
ハイハットも同じ事がいえる。クラッチを多少緩めにして次の事を試してみよう。かかとを付けた状態で足先だけで「ジャッ」っという感じで弱く踏んでみる。そして少しずつ力を入れて踏んで行くと「チッ!」という音色になるポイントがある。これを記憶しよう。クラッチの締め具合やペダルのバネの強さ、踏み方など様々な要素が絡むのでいろいろと試してみてほしい。また踏んだ状態での演奏もクラッチが多少緩めだとちょっとした左足の力加減で音色が変化するのを確認できるはずだ。
足で「踏み加減」を調整するのは非常に高度な技術だ。初心者の頃はそこまで気を使う事ができないで「踏む」か「開ける」の単なるスイッチになりがちだ。そうやって単純に踏む動作を行うと「ジャッ!」っといってしまうので、「踏み加減」を学習する前にクラッチを締め上げるという方向に行ってしまうのだろう。これではハイハットで微妙な音符の長さを表現できないし、音色も色気の無いプラスチック片がぶつかりあう音の様になってしまう。ハイハット一つでも「音楽にする」事を忘れてはいけない。